名称:日本訪問歯科協会
本部所在地:東京都千代田区神田西福田町4 神田K-1ビル8F
法人設立年月日:平成3年2月13日
理事:前田 実男
従業員数:85名
私たちは通院出来ない患者さんのところに歯科医療サービスを受けられるようにする事が最大の使命だと思っています。要介護認定者数×有訴率×受診率からみると、治療を受けている患者さんは18%です。残りの約80%の患者さんは今でも在宅で苦しんでいる状況です。私たちはこの80%の患者さんを極力ゼロに近づけたいと考えています。少しでも早く在宅で困っている患者さんに対して訪問診療を受けられる環境を整えたいと思っています。
現在、医療費の削減が社会的に注目されている中、高齢者医療は転換期を向かえています。要介護者の口腔状態が良くなれば、間違いなく社会的な医療コストは軽減されます。歯科往診に対する社会的なニーズの高まりというだけではなく、社会貢献あるいは社会的責任という側面からみても、訪問歯科診療の普及は歯科医療関係者にとって急務となっております。
本会では、訪問し歯科診療を行なうだけで満足せず、ご家族や介護事業者、ヘルパー、医師などが密に連絡をとることにより訪問歯科診療および口腔ケアを求められる方の立場に立って、身体だけではなく精神的な健康も視野においた質の高い訪問診療を目指していきます。
訪問歯科診療の実施率をみると1ヶ月間の在宅医療実施歯科診療所は全体の18.6%。1診療所あたりの平均訪問診療回数は12.6回です。この実施件数はすべての要介護高齢者を対象とした月1回の定期的管理を中心とした在宅歯科医療サービスを想定した場合、わずか3.6%の充足率に過ぎません。介護保険における居宅療養管理指導では、歯科医師による実施は4.0%、歯科衛生士による実施は2.7%しかないのです。
また、施設において訪問歯科診療を実施している歯科診療所は増加傾向ですが、居宅への実施をしている歯科診療所は減少傾向が続いていました。
さらに、平成20年度に在宅又は社会福祉施設等における療養を歯科医療面から支援する目的で創設された在宅療養支援歯科診療所の数は平成23年2月の段階でわずか4,028診療所なのです。
私たちはプロフェッショナルサービスを提供しています。“プロがプロのために提供するプロのサービス”を提供です。具体的には、適切な保険点数の取り方、医療面接スキル、治療上の技術スキル、嚥下障害、栄養管理などのための研修や情報提供を行っています。結果として、訪問歯科診療を行う医療従事者が高度な技術を習得して頂ければ患者さん、家族、介護者の皆さんに喜んで頂けますし“笑顔”になって頂けるようになります。
高齢者は口腔内の疾患の発生リスクが高く、これを放置したままにしておくと重症化が進み、咀嚼機能をはじめとする口腔機能の低下を招き、食べるという楽しみばかりではなく、生活の質の低下や生きるため意欲に悪い影響を与えます。特上、多くの高齢者は義歯の修理や新製、咀嚼機能のリハビリ、口腔ケアなどを必要としています。
厚生労働省の調査によると、要介護者の74.2%は何らかの歯科治療が必要であるのに対し、実際に治療を受けたのはわずか26.9%というのが実情です。単純に計算すると469万人×74.2%×(100%-26.9%)=247.5万人。実に247.5万人が歯科治療を必要としているにも関わらず受けていないことになります。
平成24年の診療報酬改定では、これらのことを踏まえ「在宅歯科医療の推進」が大きな柱として取り組まれました。
歯科訪問診療料の対象者や歯科訪問診療料の増点、歯科訪問診療補助加算の新設、在宅患者様等急性歯科疾患対応加算の見直しにより、今まで以上に評価されることになりました。
これを機会に多くの歯科医院が訪問歯科に取り組むことが望まれています。。
歯科医師・歯科衛生士の方が訪問診療を経験することで得られる大きなメリットが2つあります。
まず、医療面接のスキルが上がるということです。医療面接のスキルが上がるとその結果として外来までが繁盛するのです。
外来診療では患者さんとの1対1の関係になりますが、訪問診療の場合は患者さんとの関係・家族との関係・ケアマネージャーとの関係など一人が対応する人数が多くなります。1対多の関係になります。人によって伝え方を変えて適切に伝えなくはならないスキルが上がりますし、今後外来でも増えてくる高齢者の患者さんと接する際の対しての対応スキルも上がります。訪問診療で評判の良い先生ですと、外来での診療で自費の誘導が非常にスムーズになる傾向があります。
2つ目は技術的な要素です。訪問歯科診療は全ての応用編です。保険点数でも同じ行為をしても3倍の報酬がついている理由は、点数にも反映されていますが非常に高度なスキルが求められているとの事なのです。義歯関連でも寝たきりの患者さんは顎位が定まりません。そのような状況で義歯の作り方は特殊であったり、咬合の調整の仕方もピッタリと合う、食べられる、しっかりと発音が出来るように話せるなどリハビリの為の義歯の作製も行わなければなりません。義歯のスキル1つ取っても非常に高度なスキルを求められるのです。
また、摂食機能療法に関する知識を学べる事が出来ます。実際に義歯を入れた後のトレーニングや、リハビリのスキルも上がるので、外来診療では経験できない事が多くありますので、歯科医療従事者として自信に繋がると確認しています。
これからの歯科診療はこうした高齢者の患者さんの対応が必要になってくると思います。
訪問歯科診療のフィールドは歯科衛生士がもっとも活躍出来る場だと思っています。
特に、訪問歯科診療では歯科衛生士さんの需要が高いのが現状です。訪問歯科診療では歯科衛生士の単独訪問が可能です。外来では歯科医師の管理の下での診療活動を行いますが、在宅では3ヶ月に1回、施設では月1回の歯科医師の指導をしてもらったら単独で活動が出来ます。訪問歯科診療には歯科衛生士が患者さんをしっかりと支える事が出来る環境があります。
また、復職する時に非常に有利だと思っています。一度、訪問歯科診療の経験があれば復職される時はスムーズに現場復帰出来ますし、待遇面でも院内でのご勤務よりも優遇された条件で働く事が出来ますから。
在宅支援歯科診療所は全国4,000医院あると言われていますが、週に10時間以上の訪問歯科診療をしっかりと行っている所は約1,000医院だと思います。残りの3,000医院の先生方が積極的に10時間以上の診療が出来ない理由としては在宅からのニーズが届かない、それに対しての告知啓発が全然されていない、安全な治療のノウハウが広まっていないなどが挙げられます。
理想としては10,000医院が訪問歯科診療を行うようになってもらえればと思っていますが、実際のところが難しい状況です。
広く訪問歯科診療を普及させていく為には、それなりのメリットがなければなりません。保険点数でも3倍の報酬が取れるのですから訪問歯科診療を行う医療従事者の給与面の改善がされても良いのではないでしょうか。現状ではまだまだ低水準だと思っています。高度な診療が求められるのですから報酬もそれに見合った制度が必要です。
質の高い高度な診療を広げて行く事が重要だと考えています。
【日本訪問歯科協会からのお知らせ】
この度、東京国際フォーラムにて「第13回日本訪問歯科医学会」を開催させていただきます。医学会では、講演内容も訪問歯科診療を広い視点からお聞きいただけるようなテーマを取り上げております。
奮ってのご参加をお待ちしております。
■詳細、お申し込みはこちらから ⇒ 2013年11月10日(日)開催 第13回日本訪問歯科医学会
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